来訪者

１、助っ人

夏月は目の前にででんとそびえる高級マンションを見上げた。

この最上階ではなく１階に（冬樹は高所恐怖症である）同い年の幼なじみが住んでいるのかと思うと、なんだかなぁ、と思う。

はっきり言って贅沢だろう。

しかもこのマンションは開発途上の丘の上に建っている。

最寄りのスーパーまで車を飛ばして１５分。

車がなければ生活できない立地条件。

加えてマンション敷地周辺は森に囲まれており、民家もまだまだまばらで街灯も少ない。

不便だし、治安も悪そうだ。

言っちゃ悪いが、なんでこんな辺鄙な場所に高層マンションなんて建てたのであろうか？

謎である。

妹と２人暮らしとはいえ、都内で２ＬＤＫアパートに住んでいる自分達のが勝っている気すらした。