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クラス分けの掲示板は、昇降口の前に貼り出され、すでにそこは新入生で溢れかえっていた。
(…見えない。つか、前の奴、確認したのなら早く教室行けよ)
きゃーきゃー、と同じクラスだと騒ぐ派手な髪型をしたケバい女子数人と、ゲラゲラと笑いながら「記念」と携帯で写メを撮る男子数人が動こうとせず、後ろがつっかえているのだ。
気づけよ、と国枝は苛つきながら、鬱陶しそうに見つめた。
ちょうどそのとき、誰かと肩がぶつかり、国枝は「すみません」と、すぐに謝る。
「平気平気」
と、相手はひらひらと手を振りながら、へらっと笑った。
国枝は相手の顔を見て、げ、という顔をした。
(なんか、バカそうな奴…)
ぱっと外見を見て、判断する。
学ランのボタンを全開し、だらしなくシャツの裾をだし、新しいはずの革靴はすでに踵を踏み潰しながら履いている。
「なぁ、前の奴らウザくね?こんなんじゃ、教室行く前に式が始まっちゃうじゃん」
あー、もう。と、頬を膨らます。
たしかに、と、そこは同意する国枝。
「仕方ない」
「えっ…」
国枝は、ぎょっとする。
よいしょ、と人集りをかきわけて、男子は前へ進みはじめたのだ。
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