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男子の名前は、柴田 勇太郎(ゆうたろう)。
同じクラスで、席が後ろの奴。嫌でもすぐに覚えられると、式の間、時折うとうとと眠りこくる柴田の鼾(いびき)を聞きながら、国枝は面倒くさそうな顔をする。
(…できればこんな奴と、関わりたくないんだけど)
―『新入生代表』
(あぁ、俺だっけ)
「はい!」
国枝は席を立ち、ステージへ向かう。
(いくら奨学生だからとはいえ、これもまた面倒くさいことだな)
ステージに登壇すると、お辞儀をし、用意した紙を開き、マイクに口を近づけ読み始める。
「今日、私たち155名は―…」
黙々と紙に書いたことを読み上げながら、国枝はちらっと保護者の席を見た。
(…何を期待しているんだか)
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