踏み出した一歩

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寮の2人部屋で、国枝は制服のまま、自分のベッドに横になっていた。 (今日、会ったばかりなのに。アイツ、失礼にもほどがあるだろ) 横になっても、怒りはおさまらない。 中学の頃もよく医者の子供だからと、陰口をたたかれていたが、面と向かって言われたのは初めてだった。しかも、くだらないことで…。と、国枝は盛大なため息を吐いた。 「…外の空気でも吸ってくるか」 ベッドから起き上がり、服を着替えた。 机の引き出しから音楽プレイヤーを引っ張り出し、電源を入れ、イヤホンを耳にはめる。 再生ボタンを押して、音量を調節し、上着のポケットにつっこんだ。 (さて、行くか) ドアノブに手をかけ、国枝は部屋を出た。
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