放課後、古本屋にて。《番外編》

踏み出した一歩

階段を下ると、昇降口からざわざわと声が聞こえた。
オリエンテーションを終えた新入生や上級生たちが戻ってきたのだろう。そう思い、国枝は裏口から外に出る。

寮の裏には、昔使われていた寮が立っていた。
かなり古くて老朽化が進んでいるため、生徒は立ち入り禁止となっている。

（…ここなら、誰にも邪魔されないし、落ち着けるかもしれない）

立ち入り禁止の鎖をまたいで、国枝は寮の中へ入って行く。

ｷﾞｼｯ

一歩一歩足を進めるたびに、床のきしむ音が響き渡る。
木造立ての寮の中は、カビ臭く、薄暗かった。

（まぁ、こんなもんだよな）

と、国枝は階段を上る。
その途中、上の階から床のきしむ音が聞こえた。

（…ネズミとかいるのかな）

ゾッとする国枝。