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相変わらず東京へ単身赴任中の父から、何ヵ月か振りに一通のメールが届いた。
「茉莉ちゃん最近頑張っているみたいだね(^^)身体には気をつけて下さい。父より」
このメールの意図が何なのかは、容易に想像ができて照れ臭かった。そして、何故あたしの変化を承知なのかも兄からの電話で知らされていた為、余計に小恥ずかしくなる。
実の大黒柱が抜け二人暮らしとなった母とあたし。急に善良になったあたしに、母は驚嘆しつつ喜んでいる様だ。
兄に拠れば、母があたしの向上を電話で喜々として話したらしい。父にも同様に伝えただろう事は、素直に嬉しかった。
長年の母との確執は、皮肉にも兄が去った事により以前に比べ薄れてきた気がする。
母はあたしを構うようになった。しかしそれは、兄の代わりとしてではなく娘として、人として接してくれていると思う。
些細な事で衝突する事はあるけれど、あたしも逃げずに母と向き合う努力を重ねるつもりだ。
いつか何もなかったかの様に、母と笑い合える日が来るように。
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