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厳寒な冬が去り、僅かに春の訪れを体感する二月の末。あたしは実家の最寄り駅のロータリーで、いつもの友達と何をする訳でもなく時間を持て余していた。
黄色人種には不釣り合いな程色素のない髪の毛と、自身の弱さを隠すかの様な無数に開けた両耳のピアス。
私達の外見は然程変わらず、傍から見れば見分けがつかないんじゃないかと思う。
「んでさぁ、告られたから成り行きで付き合ってるんだけどぉ~……」
アイラインで真っ黒にした目を瞬かせながら、下らない話を延々と喋る友達の声に。
疲れ切った表情で、携帯電話を耳に当てながら、通り過ぎる大人達の表情に。
もう、全てがうんざりだった。世の中に、自分自身に。未来なんて見えなかった。希望なんて持てなかった。
カラカラと音を立てて、飲み終えたジュースの空き缶が風に飛ばされる。吐き出した息は白く、ゆらゆらと空へ昇った。
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