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昔から兄は、あたしよりも良くできた。成績は高く人当たりも良い。そんな兄は母にとって正に自慢の息子で、兄の成長は母の生き甲斐だったのかもしれない。
母は何に関しても兄に一番を与えた。あたしは二の次三の次で、愛情すら平等には分けてくれなかった。
どんなに良い結果を出しても母は喜んでくれなかったし、高熱を出した時さえ心配してくれなかった。
反して、兄の事になれば一喜一憂する母に段々あたしは諦めてしまった。子供として親に期待する事が疲れてしまった。
兄が「優」ならあたしは「劣」 中学生に上がると、その役目を遂行するかの様に非行に走っていった。
母が、あたしと兄を比べる。親戚達が、あたしと兄を比べる。近所中が、あたしと兄を比べる。
生きてる意味が分からなかった。
兄は何も言わなかったし昔の様に手を取ってはくれなかった。軽蔑の眼差しを、只あたしに向けるだけだった。
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