プロローグ

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「いや社長いくらなんでもこれは実用化できませんよ。」 「危険すぎます。」 案の定、反対が出た。 しかしこんな事は想定内だ。 私は会議室の中央の席で話を始めた。 「これを提案したのは他でもない、日本人にあるものを取り戻してもらいたいんだ。なんだと思う?」 社員一同が静まり返る。 「日本は徐々に豊かになってきているが、失ったものがある。それは侍の心だ。便利さをもとめるあまり、楽しようという方向に傾きすぎてしまっている。そして自己中心的な者が増えてきた気がする。私はもうあまり長くない。だからこの防犯グッズが実用化できれば、少しでも侍の心を取り戻してくれると確信している。先程述べたように私はもう長くない。だからこの防犯グッズをわたしの遺産としたいのだよ。」 会議室はしばらくの間、 沈黙が続いた。 すると1人の社員が喋りだした。 「わかりました。ではこれから3日間、全社員で商品化するか否かの投票を行います。結果は3日後にお教えします。」 「そうか、ありがとう。」 私は全社員に頭を下げた。
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