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ふと右を見れば、偶然隣の席になった幼馴染もいつも以上に顔が白くなっている。
出席番号順に、端まで行けばUターンという並びで席が決められていて、ちょうど最初のUターンにあたったのがカとキだったので、二人並んで最後尾だった。さらに左端という絶好の席を手に入れた奏介は外の景色見放題という特典つきである。おかげでさっき注意を受けたが。
「それじゃぁ今から、休憩でーす。みなさん早く仲良くなってくださいね」
そう言って担任咲間ゆうかは教室を出て行った。
始業式後のホームルームが終わり、この後には委員会やら掃除やらを決めるらしい。
と、前方からこちらに向かってくる影に気付いた。
すらりとした長身に程よくついた筋肉。軽くカールする天然パーマは、整った顔立ちと相乗効果で映えている。
そいつは奏介の席の前に立つと一言、
「ご愁傷様、茅崎」
うう、とうなだれる奏介。
悪友、山城夕貴(やましろゆうき)は続けた。
「お前ほんとに運悪いな」
今だけは、今だけはそのセリフは聞きたくなかった。その運のなさに本当にうんざりしたばかりだから。
キッと睨まれていることに気付いたのか、山城はため息ひとつ、
「で?今日はどうしたんだよ」
「聞いてくれよ、やましろ―。俺に過失はないんだよー」
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