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「オハナシ、ヨクナイデス。サヨナラ」 わざと冷やかしに片言を真似て返事をし、ドアを閉めようとしたが、男の足がドアをさりげなく抑えているのに気付く。 男は笑顔のままだ。 「トテモモウケルハナシヨ。300マンエンノシゴト。ハナシダケキイテクダサイ」 ニコニコ。 胡散臭さこの上ない。警察を呼んでも構わない場面だ。ただ問題は電話は代金未払いで止められていたし、この家賃2万7千円のボロアパート全4部屋、今現在入居者は俺だけ。 俺は半ば諦めて男を中に入れた。いざとなれば取っ組み合ってもまあなんとかなりそうな奴ではあったし、連れている「女」はどうみても非戦闘員。 そう。途中で気付いた。男から1メートルほど離れて「彼女」が立っていたのだ。
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