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「1260円です。お弁当は温めますか?」
「うん、お願い」
考えてみたら彼女のある程度の情報を得るのは簡単だった。
明日の朝にでも、役所に行って自分の戸籍謄本を見ればいい。
少なくとも名前くらいは解る。
「お待たせしました。ありがとうございました」
温まった弁当の入った袋を受け取り、コンビニをあとにする。
まあしかしだ。言葉も通じず、多少歩み寄ろうという姿勢も見せない相手。名前ひとつわかったところで仕方ない気もした。
名前も国もない妻。
笑うしかない。
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