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あの日、すっかり常連となったハローワークから帰り、形だけでプリントした求人票を数枚テーブルに放ると、俺は大の字に寝そべって煙草をくわえた。 まさにその煙草に火を点けようとした刹那に忙しくドアがノックされたのである。 火のついてない煙草をくわえたままドアを開けると恵比寿のような笑顔を浮かべた小太りの中年男がそこにはいた。 満面過ぎる笑顔は逆に人を嫌な気分にさせるものだが、その男はお構いないに口を開いた。 「チョトオハナシ、イイデスカ?」 片言だった。中国?台湾?韓国?わからないがまあその辺りだろうか。
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