第一ノ刻 ――ハジマリ――

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これは、とある高校のホームルームでの話から始まる。 「なあなあ、今度の三連休に心霊スポット行こうぜ!」 元気よく友達を誘っているのは、クラスの中のムードメーカーの高志(たかし)だ。 いつも明るくて、誰かが落ち込んでいたりすると、すぐに励ましにいく。 男女問わず人気があり、信頼も厚いが、おっちょこちょいな部分や楽観的な部分もあって、リーダーには向いておいないようで、本人もそれを認めている。 そんなことを考えながら高志達を眺めていると、耳元で透き通った声が聞こえた。 「ねえ、恵介聞いてる?」 その声の方へ振り返ると、視界一面に美紅(みく)の顔が広がる。 美紅はクラスの、いや、学校の中でもかなりの人気がある女子。 先輩後輩問わず「女子と言えば、やっぱり美紅」という言葉がでてくる。らしい。 美紅は目が大きくて、肌は透き通るように白く、顔立ちがいい。容姿端麗とはまさにこの事だろう。 しかし男子だけでなく、実は女子からも受けがいい。 美紅も高志と同じく、友達や仲間を大切にするタイプでこちらも文字通り「人気者」だ。 「ねえってば、さっきから人の顔をじろじろ見てどうしたの。」 「いや、なんでもないけど。」 今考えてた事なんか、口が裂けても本人には言えないからな。 「ふ~ん。ま、いっか。」 美紅は疑いの眼をこちらに向けながら言った。 「で、俺に何か用か。」 会話を最初に戻す。大体予想はついてるんだけど。 「うん。高志の話してた事なんだけど。」 予想的中。 まあ、会話の流れからすれば誰でも予測はできるだろう。 「心霊スポットに行くって話? で、その話がどうかしたのか。」 あくまでもシラを切ってみる。 「うん。……恵介(けいすけ)も来ないかな……て。」 まあ、わかりきってたことか。 俺は少し考えてから美紅に聞く。 「俺じゃなきゃ駄目なのか。」 「うん。高志のご指名だからね。」 美紅は満面の笑みをこっちに向ける。 この笑顔に一体何人の男が堕とされてるのだろう。 「高志が?」 そう言いながら高志を見ると、高志がこっちを見て叫ぶ。 「恵介!お前は強制だ!」 高志と美紅と俺は、小学校からの仲で、ずっと同じクラスだ。 これは、高校に来てからも変わらず、所謂「腐れ縁」ってやつだ。 まあ、嫌いではないから気にしないが。
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