5人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、心霊スポットに誘われるのは嫌いだ。
俺は自慢じゃないが、小さい頃から「そういうの」をよく視る。
霊感とかいうのが人一倍強く、高校二年生になった今は、何故か子供の時よりもこの「力」が強くなっている。
「だが断る!」
そういう力があるからこそ、俺はそういった「なにか」がある場所を嫌う。
周りの奴が俺を羨むが、その理由は微塵もわからない。
「じゃあ、明日行く場所決めようぜ。」
明日かよ!
ていうか、さっきの俺の拒絶を無視して話を進めるなよ!
心の中で高志にツッコミみつつ、俺に拒否権が無いことを悟った。
「恵介くん可哀想。挫けちゃダメだよ。」
美紅が笑いながら俺を励ました。
ガラガラと開く教室の扉が、賑やかな教室を静まり返らせた。
「席ついて。ホームルーム始めるわよ。」
先生は来るや否や、生徒達を座らせる。
「起立。注目。礼!」
日直の挨拶と同じ行動を同じようにする。
まるで何かの儀式の様な不思議な光景なのかもしれない。と、心の中で呟いてみる。
「着席。」
ガタガタと椅子を引く音をたて、クラス中の生徒が再び席につく。
全員が座ったのを確認して、担任の先生が話を始める。
そして、無機質なチャイムの音を合図に、先生が話を終わらせた。
その後、いつも通りに授業を受け、昼を食べ、午後の授業を受ける。いつもと同じ繰り返しの輪の中を過ごした。
無機質なチャイムが6時間目の授業の終わりを告げる。
いつも通りの一日が終わった。
俺は教科書やノートをカバンに詰めて教室をでた。廊下には吹奏楽部の練習の音や、サッカー部のかけ声、バスケ部のホイッスルの音が響いている。
ふと、廊下の奥を見たときだった。
夕日の逆光でいまいちよく見えなかったが、そこには小学生位の女の子が立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!