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声のした方へ振り返ると、美紅がこちらへ駆け寄って来た。
「高志と明日の話、しなくていいの?」
「え~、行きたくないんだけど。」
美紅の問い掛けに俺が物凄く不機嫌そうな顔で答えた時だった。
ふと、誰かに肩を掴まれる。
直後、耳元で誰かが囁いた。
「言ったろ………、お前は強制だ。」
背筋に悪寒が走り、全力で振りほどく。
「高志!キモイぞ!」
高志に怒鳴りながら後ろを振り返る。
高志は俺の反応が面白かったのか、俺を傍目に腹を抱えて笑っている。
後ろからはクスクスと、美紅の笑い声が聞こえる。
「ったく、んで、明日はどうすんだよ。」
俺は不貞腐れながら、笑い続けている高志に聞く。
「あ~、悪い悪い。
これから教室で話すから、教室に居てくれ。」
高志の言葉に俺は肩を落とした。
「やっぱり、強制ですか。」
俺はそうこぼして、教室に戻る。
ここで高志を振り切って家に帰る事もできたが、経験上、当日には連れ出されてしまう。
それはそれで不快なので、結果、最初から参加する。
ため息を吐きながら歩く俺に「ドンマイ」と美紅が肩を叩いた。
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