第一ノ刻 ――ハジマリ――

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声のした方へ振り返ると、美紅がこちらへ駆け寄って来た。 「高志と明日の話、しなくていいの?」 「え~、行きたくないんだけど。」 美紅の問い掛けに俺が物凄く不機嫌そうな顔で答えた時だった。 ふと、誰かに肩を掴まれる。 直後、耳元で誰かが囁いた。 「言ったろ………、お前は強制だ。」 背筋に悪寒が走り、全力で振りほどく。 「高志!キモイぞ!」 高志に怒鳴りながら後ろを振り返る。 高志は俺の反応が面白かったのか、俺を傍目に腹を抱えて笑っている。 後ろからはクスクスと、美紅の笑い声が聞こえる。 「ったく、んで、明日はどうすんだよ。」 俺は不貞腐れながら、笑い続けている高志に聞く。 「あ~、悪い悪い。 これから教室で話すから、教室に居てくれ。」 高志の言葉に俺は肩を落とした。 「やっぱり、強制ですか。」 俺はそうこぼして、教室に戻る。 ここで高志を振り切って家に帰る事もできたが、経験上、当日には連れ出されてしまう。 それはそれで不快なので、結果、最初から参加する。 ため息を吐きながら歩く俺に「ドンマイ」と美紅が肩を叩いた。
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