第一ノ刻 ――ハジマリ――

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教室の中には、放課後にも関わらず十数人の生徒が残っていた。 「よくもまぁ、こんなに人数を集めたな。」 頭を掻きながら教室一面を見渡す。 教卓の周りに集まり地図を広げている。 明日行く所を決めているのだろうか。 当事者の高志はまだ来てないけど、皆乗り気なのだろう。 俺はあまり気乗りしないが、教卓の人だかりに混ざっていった。 「俺、松井のトンネルがいいな。」 「あそこ、今は封鎖されてるんだろ?」 「心霊スポットとか、なんかちょっと楽しみかも。」 皆が好きなことを言い合っている時だった。 ガラガラと教室の引き戸を開け、高志が戻って来た。 「悪い、遅くなった。」 そう言いながら高志は教卓の界隈に混ざる。 「では、明日行く場所を決めます。それは………。」 高志は必要以上に溜める。 皆は真剣な眼差しで高志を見る。 「ここだ!」 高志は叫ぶや否や、後ろを振り返りチョークを取り、黒板に何かを書き始めた。 皆の視線が、高志の持つチョークを追っている。 高志がチョークを置き、こっちに向き直す。そして、黒板を思い切り叩きながら叫ぶ。 『神無月邸』 「かんなづきてい?」 黒板に書かれた文字を美紅が棒読みで読む。その美紅の言葉に高志は大きく頷く。 「そうだ、明日はここに行くぜ。」 高志は目を輝かせて言った。
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