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紘斗は美術室へと向かい歩いていた。
入学したばかりの学校を一人で歩くのはまだ緊張感がある。
放課後、多くの人が向かう下駄箱のある玄関口とは反対の方向に美術室はあり、歩く程に人は少なくなってくる。
紘斗は小さな頃から絵を描くのが好きだった。
いや、得意だ。と言う方が正しいのかもしれない。
上手に絵を描けるとみんなが褒めてくれる。
他に秀でた所を持たない紘斗の唯一の才能。それが絵を描くこと。
それが紘斗が絵を描く一番の理由なのかもしれない。
紘斗は小学生の頃より絵画のコンクールで何度も賞を取っている。
それどころか、中学では全国的にも有名なコンクールで最優秀賞をとった程の実力である。
始めて美術室へと足を運ぶことに緊張はするが、中学時代の美術部の先輩がいるのを知っていたため少しだけ心強かった。
紘斗は校舎の1番端にある美術室の扉に手をかけ開いた。
ガラガラと音がして引き戸は開かれる。
紘斗が中に入ると、キャンパスの前に座り、絵を描いていた女の子が振り返り紘斗と目が合う。
2人の物語が動き始める・・・
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