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◆ 2012年2月
ぼんやり窓から
庭の梅の木を眺めると心が安らぎ
最近は日課のように
この場所で数分
立ち止まる事が
多くなっていた。
(ここからの風景は
全く変わらないのに…)
老舗和菓子店『菊松庵』の息子
小野寺慎太郎と私
後藤紗香は5年前に
みんなから祝福され
結婚した。
高校3年生の夏
菊松庵の店員として
アルバイトを始めたのが
きっかけで
慎太郎と出会った。
私は17で慎太郎は22歳だった。
始めの頃は、
慎太郎も修行中だったので
慎太郎との接触はなかったが
慎太郎の母親に気に入られ
高校卒業後の就職先を
菊松庵へと強く懇願され
私の母親は
住み込みで良いのなら…と
慎太郎の母親に条件を出し
私は高校を卒業後
住み込みで菊松庵へ就職をした。
アルバイトの頃と違い
住み込みでの就職後は
慎太郎とも
接触する時間も増えていた。
だからといって
老舗和菓子店の
4代目になる慎太郎の事を
恋愛対象など 全く
自分の中ではなかったが
慎太郎の母親が
私達を結びつけようと
休みの日など
映画のチケットや
コンサートのチケットを手配し
二人だけで何度か
出かけたりするうち に
慎太郎が私に
好意を抱くようになってきた様子を
私も気付き始めていた。
私が二十歳の時
真剣に交際をしたいと
慎太郎から申し込まれ
私は…
本当に慎太郎が
好きなのか どうか
わからない気持ちのまま
慎太郎との真剣な
付き合いが始まった。
勿論…それを望んでいた
慎太郎の母親は
私達の交際を一番 喜んでいた。
順調に交際も進み
慎太郎からのプロポーズ。
実家の母親に結婚の相談をすると
玉の輿だと言っては
結婚を喜び、
反対するような感じも全くなく
私が考える余地もないほど
話は進んでいった。
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