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拓海と駿は 波打ち際まで 歩いて行った。
「駿…良いパパだね」
「本当だね…こんな事なら…桜子の時…」
「母ちゃん…桜子の時は 駿も子供だよ…
あの時と今は 絶対
違うと思うから
母ちゃん…もう、自分を責めちゃダメだよ」
優香の言葉に 桜子もニッコリ微笑み
「そうそう…母ちゃんらしくないよ
過去は過去…
今、みんなが 同じ気持ちで 繋がってるんだし…」
「ありがとう…
母ちゃんも 年かね
何か…涙もろくなっちゃったね…」
「そりゃそうよ…だって母ちゃん、ひ孫まで居るんだから…
あっ!…拓海の誕生日………
紗香の命日になるんだね…
何か…複雑だよね…」
「そっか…そうだよね…
喜んで 祝うのも…」
「拓海は…紗香の顔も覚えてないだろうし
拓海がママの事を
これから先 ずっと
忘れない為にも
誕生日が命日でも
良いんじゃない?
みんなで、祝ってあげながら
みんなが、紗香を偲ぶ事が
紗香の供養にも
なるんじゃないかね」
母親の言葉に みんなが頷き
拓海と駿の姿を見つめていた。
そして 駿は駿で
拓海に話しかけていた。
「拓海、ママぁ~って
言ってごらん
パパと一緒に…
せ~~~の………
ママぁ~~~っ」
「マ~マ~ッ ママぁ~」
「そう…大きい声 出たなぁ
ママにも 拓海の声
聞こえてるぞ
なぁ…紗香…
拓海の声…聞こえただろう?」
駿は 海を見つめながら言った。
拓海は駿の隣で
何度も 何度も
ママと大声で
叫び続けた。
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