絵描きと写真家志望

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三月も終わりに近付いた土曜日。 俺は、実家から十分程の場所にある親水公園の駐車場に車を止めた。 流石にまだ咲いてないなこれは。 車から降りた途端、吹き荒ぶ冷たい風にブルリと肩が震えた。 でもまあ、ここはいつも早咲きの筈だし、日当たりの良い場所ならばあるいは……。 仰いだ空は綺麗に澄んだ青。 柔らかく注ぐ陽射しは春めいて、風さえ無ければ散歩日和。 そんな冬と春が混じる公園の遊歩道を、俺は目的の場所へと歩みを進める。 肩に掛けた鞄が時折ずり落ちるのを引っ張りあげれば、その重みに言い様のない重圧感を覚えた。 勿論、物理的にではない。 精神的にだ。
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