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「なんなんだっ!!この有様はっ!!柚っ!てめぇこの俺に喧嘩売ってるのかっ?!あぁ?」 柄悪く怒声を上げるのはスーツ姿の巽。 私といえば、ソファで横になりながら本を読んでいた。 「この有様ってなにが?」 「なにが?っじゃねぇっ!!ゴミ袋持って来いっ!」 スーツのネクタイを緩めながら巽はセットしていた髪をぐちゃっとかき回した。 素早く上着をハンガーにかけると、寝室から戻ってくる。 「お前を甘やかすのはこれで終いだっ!部屋一つ掃除も出来ねぇなら今すぐ荷物まとめて山口に帰りやがれっ!」 私の渡したゴミ袋をバサバサと大きく振って空気をいれ、膨らませると、勢いよく床に散らばるゴミを拾って投げ込み始めた。 まぁ、巽が怒るのは無理もない。私は凄くだらしがない。自分でもびっくりのだらしなさで、今までお母さんにどれだけお世話になっていたのかやっと実感できたとこだったりする。 だって、ゴミをゴミ箱に捨てるのも脱ぎ散らかした洋服を片付けるのも、洗濯をしてくれるのもお母さんだったんだもん。 正直、洗濯とか、料理とか、食器洗うとか面倒臭いし、むいてない。 「何にも出来ねぇのは知ってたけどなっ!てめぇは努力が足りなさ過ぎんだよっ!自分でしたいっつったんだろ。家事ぐらい憶えろ。せめてゴミぐらいゴミ箱に捨てろ。東京に出てきて何ヶ月たったと思ってんだっ!」 帰ってくるなり怒鳴り始めた巽に肩をすくめる。 しょうがないから、ゴミを私も拾い始めた。 巽が怒りをあらわにやけくそ気味にゴミを投げ入れるのを見ながら三ヶ月前の事を思い出していた。
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