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「遥は駄目よ。行きたいなら旅行程度で充分だから。三日で根を上げるほうにお母さん賭けれるわよ」
「あぁ、それなら俺は一日で」
お父さんはお母さんに抱きつきながらそう言った。ほんとに子供の前での遠慮って言葉を覚えてほしい。
「いや、案外天国とかいってなじむかもしれねぇよ?」
と巽が言ったとたんに、お母さんが眉を吊り上げた。
「巽じゃないんだから、やめてよ。私は顔も知らない人のおばあちゃんになるなんてごめんだからねっ!!」
お母さんの叫びの内容の意味は全くわからない。
けれど、遥は納得したように天使のような微笑を浮かべると可愛く上目遣いで言った。
「大丈夫だよ。僕、ちゃんとゴム持ってるから」
・・・・・・・なんでゴム?
髪長くないのに。
首を傾げると、目の前の巽が私を見て吹き出して遥を撫でていた手で私の頭を撫で始めた。
「よしよし、わかんなくていいんだぞ。柚はきらの血が薄くて良かったな」
さっぱり意味が分からない。
口を尖らせて、遥を見ると私の事を化け物を見るような目で見ている。
「なに?」
「柚、お前東京とか無理じゃないか?あっという間に悪い男に捕まってポイ捨てされるよ?」
馬鹿にされてる感がいなめない。無性に腹が立つんだけど。
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