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「遥っ!あんたまさかとは思うけどっ」
お母さんの鋭い声に遥は首をすくめて私に向けて舌を出した。
「やべっ。バレタ」
・・・・・何が?ねぇ、なにがバレタの?
「しょうがねぇよなぁ。ヤリたい盛りだしなぁ」
だから、なにっ!!
巽の呟きに、さらにお母さんがキツイ声を出す。
「巽っ!!遥に余計な知恵つけてないでしょうねっ」
「よし、遥、買い物行くぞ」
さっと身を翻して巽と遥は玄関を出て行ってしまう。
残されたお母さんはじっとりとお父さんを見ていた。
「カズ、知ってたわね?」
その声の響きに私も慌てて自分の部屋へと飛び込んだ。
夫婦喧嘩は犬も食わないからね。こんなの日常茶飯事だし。
だけど、あの時私だけが話しについていけてなかった。
それが少し疎外感を感じて今も気持悪かったりするんだよね。
リビングの机の上を片付けながら思い返す。
結局お母さんの血がどうとか、ゴムがどうとかさっぱり分からなかったし。
後ろでゴーッという音が響き始める。巽が掃除機をかけ始めたんだ。
凄いよっ!私まだ、机の片付いてないのにっ!下に散らばってたゴミやら服やらが綺麗になくなってるっ!
まるで魔法のように片付いていく。巽ってなにげに家事なんでも出来るんだよなぁ。
なにも出来ない私から見ると本当に凄いと思う。
とっ、バシッと洋服が顔面直撃。目の前が暗くなる。
巽が下に落ちていた私のTシャツを投げたんだ。
「ボゥっとしてねぇで、片付けろ。これじゃお前、嫁の貰い手いねぇぞ」
呆れた声に、すかさず私は言い返していた。
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