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「いいんだもん。巽みたいに料理ができて掃除ができる男の人捕まえるからっ!」 「馬鹿、その場合柚が外でそれなりに稼いでこなきゃならないだろう。お前収入に繋がるような、なにか得意なことあったか?」 的を射た突っ込みに、思わずぐっと喉が鳴る。 「これから大学でみつけるからいいんだよ」 「ほぅ。そうかそうか、まぁ、頑張れよ。ついでに家事も覚えないと、山口に強制送還だからな」 ・・・・・・・それは困る。 私は今、楽しくてしょうがないんだ。 だって、お店が夜中まで開いてるのなんて初めて見たよっ! うちのほうじゃコンビ二すらあっても夜九時には閉まってしまう。 スーパーは八時閉店だし。 いつも旅行できても夜遅くまで出歩くことはなかったからカルチャーショックだった。 夜中まで開いているカフェで、パソコンを睨んでいたり、本を読んでいたりと私にしてみればどうして自分の家でやらないのか不思議なこともあるけれどね。 ただ、巽が門限を八時だなんて言うからあんまり遊びにはいけないけれど、巽が山口に帰っているときに羽を伸ばせばいいんだしね。 バイトの時は十時まで働いてもいいって言われたし。 地元とは比べ物にならない綺麗な街並みに、お洒落な人達。 何もかもが煌めいていて、私の心を浮き立たせていた。 あぁ、ただこっちに来て驚いたのは、巽やお父さん以上の格好いい男の人がいないってことなんだよね。 こんなに沢山人がいるんだから、もっと沢山格好いい人がいておかしくないと思うのに。
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