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私はその場に座り込んで、溜息をついた。
あーぁ、ホント都会は恐いよ。色んな人がいるし、こーゆー変な人も生息してる。
「いい?よーく覚えときなさいよ。あたしの事、誰かにバラしたら承知しないわよ!!そうねアンタ、トロいし明日からアタシが監視含めて一緒に行動しましょ。ね、柚」
はぁ?意味が分かんない。呼び捨てだし。
「お断りします」
きっぱりそう言うと、和泉先輩はまゆを吊り上げた。
「アンタに拒否権はないわよ。アタシを敵に回してまともな大学生活送れると思ってるの?」
……………和泉先輩とサークル一緒、バイト先も一緒なんだよね。
しかも、女子にやたら人気あるし。
答えに詰まると、先輩は嬉しそうに両手を打ち合わせて笑った。
「よし、じゃ決まりね!!アンタとアタシ明日からは恋人同士よ」
「ちょぉっ!なにいいよっと?冗談じゃなかと!」
「あら、方言も可愛いわね」
ちっがーう!そうじゃなくて!
私の事なんか欠片も見ずに、和泉先輩は人差し指を口元に当てて首をかしげた。
「アタシもそろそろ男のふり疲れたし、素で大丈夫な子欲しかったのよねぇ?アタシモテるから、虫除けにもなるし丁度良かったわ。あっ、アタシの事は蒼って呼んで」
先輩を呼び捨て?あり得ない!
オネェと付き合うのもあり得ない。
だけど、今日この瞬間確かに私の運命は決まったんだ。
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