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溜息つくと幸せが逃げてくって、誰がいったんだっけ?
もう一度溜息をつくと、和泉先輩が上機嫌で私の頭を撫でた。
「今度、アンタの洋服全部見せなさいよ!アタシがプロデュースしてあげるわ。アンタ、自分の顔がちょっと可愛いからって手を抜きすぎよっ!あり得ないわっこんなに眉毛ぼうぼうにしてっ!!ずっと許せないよ思ってたのよ私っ!!」
大きなお世話だとはいえなかった。私もちょっとそう思ってたから。
「そうね、どうせ同じマンションなんだし、今からアンタの家に行こうかしら。明日からアタシの彼女として連れ歩くには化粧ッ気が足りないわ」
「いいよ、来なくて。化粧道具なんか持ってないし」
あぁ、和泉先輩のイメージがドンドン崩れていくよ。なにこのおばちゃんみたいな強引な話の進め方。
だけど、恐ろしい事にこの話し方に段々慣れてきてる私がいる。
なんかもう、どうでも良くなってきた。彼女っていってもフリだけなんだし。どうせ私は巽以外の男に人に興味もてないんだし。
和泉先輩、顔だけはいいし。
あれ?そういえば黙っちゃったな。どうしたのかと思って、上を見上げると和泉先輩が鬼の形相で私を睨みつけていた。
驚いて、思わず逃げようかと立とうとするけれど、目があった瞬間に、両肩を鷲掴みにされてしまった。
そのまま勢いよく、前後に振られる。あぁ、目が回るからやめてぇ!!
「いっ和泉・・・・せんっ・・・ぱい」
やめて欲しくて、名前を呼ぶとピシャリと遮られた。
「蒼っってよびなさいなっ!まったく、まったく、まったくぅぅぅぅ!!アンタ女舐めてんのっ!十八にもなる女がっ!全身WINDYで決めてる女がっ!!化粧品持ってないとかっ!アタシを馬鹿にするにも程があるわっ!!くぅやぁしぃぃぃぃ!」
何が先輩を怒らせたのかわからないけど苦しいから離して欲しい。
なんか、首締め上げにかかってないか?
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