序 章

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うちの家族は五人家族だ。 私と弟と両親。 それに何故か物心ついた時から一緒に暮らしてるおじさん。 母の兄妹で結婚もせずにうちに居候していると父から聞いていた。 その叔父が母にキスをしていた。 母を愛おしそうに見つめていた。 心に湧き上るのは、母に対する怒りだった。 そして、頬を伝う涙に自分の感情が掴みきれなかった。 けれど、答えはすぐにスルリと口から零れ落ちた。 好きだったのに。 叔父と姪が結婚できないのなんて知っていた。 だからその時まで気付かないフリをしてた。 けれど、あの蕩けそうな笑みを自分に向けて欲しいと思う。 向けられていた母に言いようのない怒りを感じる。 育ててくれた人なのに、家族愛が恋に変わってしまっていた。 ソレが初めてての自覚した恋心。 想いを自覚した瞬間に私の恋は砕け散ってしまった。 叔父と姪は結婚出来ないし、叔父は妹に恋心を抱く。 これは遺伝なのか。 近親者に抱く恋心は罪。 それは子供の私でも理解している禁忌。 一時的かと思われたその想いは消えることなく私の胸を侵食していく。 私が恋した人は母を愛する人でした。
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