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「・・・・・・馬鹿たれ」
と巽。
「・・・・・・いつかやるとは思ってたけど」
これはお母さん。
え?赤の他人って?
「カズ、てめぇなに赤の他人にしてんだよ。いいじゃねぇか、きらの娘は俺の姪。ひいてはお袋の孫だろ」
うんうんと頷きながら巽が言えは、お母さんが大きな溜息をついた。
「まぁねぇ。でも散々私がお世話になったからさすがに京子さんに柚の世話を御願いするわけにはいかないよ。この娘、家事何にも出来ないし、恥ずかしくて京子さんに預けられない」
・・・・・なにげに酷い事言ったねお母さん。確かに私、家事大嫌いだけど。
だけど、理解の出来ない会話が大人の間で交わされていく。
私の感情や理解なんて置き去りだった。
「きらの血が濃く出てる訳じゃねぇし、もう18なんだから適当にやるだろ」
うわぁ、投げやりなんだけど。
「巽、男の子じゃないんだから。適当に遊ばれたら困るでしょ。だいたい、自由すぎて妊娠しました学校中退しますとかになったらどうするのよ」
「とりあえず、相手の男蛸殴り。俺の娘に手を出すとはいい度胸だなぁ?カズ?」
まるで目の前に誰かいるかのように、巽は物騒な笑顔を浮かべて拳を握った。
「柚のこと溺愛してるくせに変なトコで放任するんじゃねぇよ。お前、きらが18の頃思い出せよ」
「18のきらっ!!可愛かったよなぁ」
へにょんと頬が緩む巽にツキンと胸が痛んだ。お母さんの話をする巽はいつでも優しい眼差しになるから。
「巽それ、認識間違ってる。私おさげに黒縁めがねの頃だから」
冷たいお母さんの突っ込みにも巽はめげなかった。
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