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「きらはどんな格好をしていても可愛かった」
あっ、語り始めちゃった。これ長いんだよね。どんだけお母さんの事好きなんだっていう。
・・・・・・そうか、兄妹じゃないのか。
「どうしたの?柚、おとなしくなっちゃったじゃない」
「別に」
つい、声が冷たくなる。このところお母さんとまともに会話をした事はなかった。
「巽、その話はもういいよ。兎に角、京子さんのお世話になるわけにはいかない」
「じゃ、奏に預ってもらえよ。あそこなら一人増えたところで屁でもねぇだろ」
奏さんはお父さん達の友達で昔から週末には遊びにくる。
なにをしてるのか知らないけれど、ブランド物の洋服を沢山くれる優しい叔父様だ。
子供の頃は本当にどこかの国王子様だと信じて疑ってなかった。
だって、物腰が柔らかいしスマートだしお洒落だし。
「巽っ!!奏をいいように使っちゃ駄目だっていってるでしょ」
お母さんは奏さんと仲が良さそうだけどいつも遠慮している。
反対に巽はいつでもアレしろコレしろコレ持ってこいと顎で使っている。きっと子分ってやつなんだ。
小さい頃奏さんがそう言ってたし。
「ちょっと、待ってっ!お父さん達、肝心な話を無視してるっ!おばぁちゃんがおばぁちゃんじゃないってどういう事よっ!!ちゃんと解かるように説明してっ!」
私が叫ぶと、お父さんが舌打ちをした事に気付いた。
誤魔化す気満々だったなこれは。
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