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私達がいつも降りる駅に、到着した。
あたしと麗奈は中学は別々だったが、たまたま校区の端っこと端っこ同士で、実は家が近かった。
「今日あたし、美容院予約してあるから、次の駅で降りる、じゃーまた明日。」
あたしが席から立つと、麗奈はお尻をかるく叩いた。
「もー、じゃーね。」
お尻叩くなんて、訳分かんない。
麗奈らしいけど。
電車を降り、麗奈を乗せた電車が発車するまで、手を振り続けた。
改札口へ向かって歩いていると、スーツ姿の男性が近づいてきた。
「ねぇ、君。」
胸ポケットから、さっと名刺を差し出された。
「芸能プロダクション、ニューオフィスの綾瀬と言います。
芸能界に興味ない?
君なら有名になれるよ。」
こうゆうのって、なんか胡散臭い。
「結構です。全く興味ないので。」
あたしは少し強い口調できっぱり断った。
その場から立ち去ろうとすると、この人名刺を差し出したまま、どいてくれない。
「名刺だけでも受け取って、また来るから。」
強引に差し出された名刺を受け取らないと帰してくれなさそうな勢いに負けて名刺を受け取り、
その場から逃げるように改札を出た。
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