第一章「お化けを、信じますか?」

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小学校の頃は、誰かいるのかな?くらいの感覚で、それが中学になった頃には視認できるようになって、触れる事にも気付いて…。 最初は夜中にトイレに行く事すら怖かった。 しかし、人間というのは本当に恐ろしいものだ、特に「慣れ」というのは。 今じゃ妖怪を見ても、あまり驚かなくなってきた。 そりゃ、怖い顔した奴は怖いけど、そこら辺を走り回る小妖怪は怖くない。 なにもしない事が分かっているからだ。 人に危害を加えたり、悪さをするのは、決まって大きな奴ばかりだ。 全部がそう、とは流石に言わないが、大きい妖怪には気を付けている。 まずは目を合わせない。次に気付かれないようにする。 妖怪や幽霊の類が見えるようになってから4年余り、俺が学んだ事はそれだ。 大きな妖怪とはなるべく関わらず、近付かず、コレは基本と言えるだろう。 しかし、だ。 あの一つ目のように、大きくも小さくも無い奴はどうも判断がつかない。逆に怖い。 …帰ろう。 俺は鞄を持って靴に履き替え、学校を出て家路へと着いた。 ふと、カーブミラー越しに後ろを確認する。 いる。電柱の陰に隠れて、ずっとこっちを見ている。 1つ目の妖怪と、ミラー越しに目があった。 『ヤッパリ…食ベル!!』
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