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「これ…先輩の?」
『ナンダ…?』
1つ目が起き上がり、俺を睨めつける。
その大きな1つ目には怒りと焦り、そして恐怖の念が伺える。
「ふむ、彼の霊力を吸って、だいぶ力を付けてしまったようだな。御札だけでは滅せなかったか…」
後ろから声が響いて、咄嗟に振り向いた。
この声は…もしかして…
「やぁ、待たせてすまない。意外と早く走るのだな、君は」
「柴崎…先輩?」
そこには長く、怪しい光を放つ黒い髪をなびかせる柴崎ツカサ先輩がいたんだ。
俺の今の心境は安心半分、心配半分と言ったところかな?
『キサマ…、何者ダァ!?』
1つ目は柴崎先輩を睨めつけながら、そう怒鳴った。
今の奴の目は怒りに染まっている。…分かり易い奴だ…。
そんな1つ目に、柴崎先輩は少し意地の悪い笑みを浮かべて答えた。
「私か?…私は退魔師だ。お前を滅する!」
『生意気ナ人間フゼイガァ!!』
1つ目は怒りに我を忘れて、馬鹿みたいに一直線に先輩の元へ駆けだした。
先輩の近くまで行くと、奴は大きな口を開けて先輩を喰らおうとする。
先輩は咄嗟に出した左手を噛まれてしまった。
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