第一章「お化けを、信じますか?」

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「先輩っ!!」 思うよりも早く、俺は駆けだしていた。 行ってどうするかは決めていないけど、何故か、体が無意識に、というか勝手に動いた。 「心配はいらないよ。君は下がっててくれ」 「え?」 先輩は俺が思っていたよりも全然焦っておらず、涼しい顔をして、諭すように俺に言った。その様子に若干拍子抜けしたが、俺は黙って見る事にした。 『コンナ細イ腕、引キ千切ッテクレルワ!!』 「させると思うかい?…ふっ!」 口に一層力を入れる1つ目を、先輩は足払いで転ばせて、腕を引き抜き、制服のポケットから包帯のような細い布を取り出し、素早くソレを右手に巻き付けた。 「―――――!」 先輩は小声で何か言ったようだが、ココからでは聞き取れない。 御経…のような感じなのだろうか? 「終わりだ…!」 先輩は、目の前で横たわる1つ目を見据えて、包帯のような細い布を巻いた右手を、容赦なく突き立てた。 瞬間、黒い雷のような電気が走って、容赦なく1つ目を苦しめる。 1つ目は声にならない叫びで、絶叫し、塵となって消えた。 先輩は右手に巻き付けていた布を再びポケットにしまうと、静かに俺の元まで歩み寄ってきた。
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