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「先輩っ!!」
思うよりも早く、俺は駆けだしていた。
行ってどうするかは決めていないけど、何故か、体が無意識に、というか勝手に動いた。
「心配はいらないよ。君は下がっててくれ」
「え?」
先輩は俺が思っていたよりも全然焦っておらず、涼しい顔をして、諭すように俺に言った。その様子に若干拍子抜けしたが、俺は黙って見る事にした。
『コンナ細イ腕、引キ千切ッテクレルワ!!』
「させると思うかい?…ふっ!」
口に一層力を入れる1つ目を、先輩は足払いで転ばせて、腕を引き抜き、制服のポケットから包帯のような細い布を取り出し、素早くソレを右手に巻き付けた。
「―――――!」
先輩は小声で何か言ったようだが、ココからでは聞き取れない。
御経…のような感じなのだろうか?
「終わりだ…!」
先輩は、目の前で横たわる1つ目を見据えて、包帯のような細い布を巻いた右手を、容赦なく突き立てた。
瞬間、黒い雷のような電気が走って、容赦なく1つ目を苦しめる。
1つ目は声にならない叫びで、絶叫し、塵となって消えた。
先輩は右手に巻き付けていた布を再びポケットにしまうと、静かに俺の元まで歩み寄ってきた。
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