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16歳高校一年の春。
俺は杉村 祓威(スギムラハライ)
家庭の事情でこの町、桜岡に引っ越してきた。
俺は家から一番近い高校を受験して、合格した。
入学してから一週間と経っていないのに、クラスの皆が親しみやすい性格をしているお陰で、俺は直ぐに皆と打ち解ける事が出来た。
そんな俺でも、皆には内緒のことがあるんだ。
…それは
「また、お前か…」
家を出て学校へ向かう途中、後ろから嫌な視線を受けて振り返り、呟いた。
後ろには誰もいないじゃないかって?
…いるんだよ、俺には見える、見えてしまう。
電柱の陰からずっとこっちを見ているアレは、きっと霊や妖怪と呼ばれるもので、普通の人には見えていない。
俺はどういうわけか、彼らを視認することが出来る。
けど、見えて触れるだけの俺には何も出来ない。
アレに気付いたのは3日前だ。気付いたら俺の事を付け回していた。
特徴は大きな1つ目。
特に危害が加えられたわけではないし、放っておく事にした。
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