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そこには畳が敷いてあり、窓から差し込む心地よい日差しを受けて眠る、1人の女生徒。
綺麗で長い黒髪だな…、2年の先輩か、日向ごっこでもしてたら眠ってしまったのだろうか?
この人が、奇怪な出来事を解決すると言う人なのだろうか…。
起こすのも悪いし、起きるまで待たせてもらおうかな?
俺はそう思い、また椅子に腰を下ろそうとした時だった。
先ほどのデブ猫が走って彼女の元へ行き、口を耳元に近付ける。
すると、先ほどまで眠っていた彼女は目を覚まして、起き上がった。
すぐに俺へと焦点を向けて、ジッと見つめる。
「え…っと…」
「君は、なんだ?」
「なんだと聞かれても…」
こういう時に素直に自分が妖怪に後を付け回されている、とは言い難い…。
馬鹿にされるかもしれない…。
少し、困ったな…。
「あの…」
俺は窓から外を眺めて、適当な妖怪を指さす。木陰でのんびりお茶をしている、人畜無害そうな老人だ。アレはきっと、妖怪だ。
「見えますか?」
「ん?」
彼女は俺と同様に窓から外を眺め、俺の指さしている方向へ目を向ける。
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