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やはり、見えていないのだろうか…。
「あの老人の事か?君にも見えるのだな」
「……本当に?本当に、見えるんですか?」
「いけないかい?…ふむ、君にも見えていると言う事は、やはりその手の依頼かい?」
この人は本物だ。
実は前にも似た様な経験があった俺は、霊能力者を呼んで、お祓いをしてもらおうとしたのだが、その霊能力者、目の前に妖怪がいるにも関わらず気付かずに適当な事ばかりを言っていた。
…けど、この人は違う。この人なら…
「私は、柴崎ツカサ、退魔師だ。…話してもらえるかな?」
「はい。実は…」
俺は話した。退魔師、柴崎ツカサさんに。
あの1つ目の事を、包み隠さず、全て。
「なるほど、君はその1つ目には覚えが無く、また恨まれる様な事はしていないと…」
「はい。気付いたらずっと後を付けていたんです」
柴崎先輩は少し考える素振りを見せると、制服のポケットから一枚の紙を取り出した。
先輩は、そこに筆ペンでよく分からない文字のような物を走り書きすると、俺に寄越してきた。
「これ、なんです?」
「君を守る魔法のお守りだ。持っているだけで良い、まぁ一先ずはこれだけだね、帰って休むといい。」
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