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「え?あ、はい…」
こんなモノが役に立つのか…?
俺は若干の不安を抱きながらも、部屋を後にした。
「ツカサ、奴はお前よりも美味そうだな」
そう言うのは、ツカサが飼っているであろうデブ猫。
デブ猫は机に乗り、ツカサの腰辺りの場所まで上る。
「サブ、食べたらイケないよ?けど、確かに彼は凄い力を秘めているようだ。…今は見えてしまうだけのようだが…」
「見える上に栄養が盛りだくさん。戦う事は出来ないから格好の餌食だ」
サブと呼ばれた喋るデブ猫は、どこかおっさんめいた、しかしどこか可愛げのある声でそう呟くと、目を瞑った。
「早くて今夜辺りかな?あまり手荒な事はしたくないんだが…、やむをえない」
ツカサは窓の外、校門の近くを不気味に徘徊する1つ目の妖怪を見据えて、そう呟いた。
「はぁ…どうして俺はこんな力を持って生れてしまったんだろう…」
オカルト研究会の部室から教室へ帰る途中で、何気なく口に出してしまった愚痴に、重いため息を上乗せする。
俺が妖怪や幽霊といった類の物が見えるようになったのはいつからだろう…、中学生に上がった頃からだろうか?
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