第39章…忘れていた記憶

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沙「可愛い顔が台無しよ?」 「将来有望よ?十年後が楽しみね、明音と詩音…どうなってるのかしらね?とっても楽しみなんだから」と笑いながら詩音の乱れた髪を軽く直す。 それはいつもの優しい母だった。冗談を言ったり、からかったりもするけど、屋敷で髪をいつも綺麗に結ってくれ、優しく、綺麗な自慢の母上だった。 [………] 沙「……っ、……ぅ、」 [!!………、、] 怪我のせいか、それとも何かあったのか…時々苦しそうにする沙夜を詩音は気づかないフリをしていた。 キュッと目を瞑り、何も知らないフリをした。 沙「詩音……」 [……………] 沙「………刀を手放したら駄目よ?何が何でも、絶対に…放したら駄目。」 […………はぃ、、] 沙「その刀は絶対に……必ずあなたを守ってくれるから。分かった?」 コクリと頷く詩音に満足そうに笑う沙夜。 だが詩音は思っていた。 「なにか違う」と……。 沙夜の笑顔は優しいが、どこか悲しそうに見えた。「母上…」と呼ぼうとした時ピクリと沙夜は反応した 沙「!!…隠れてっ!」 グイッといきなり引っ張られ、小さくしゃがみ込む。 何かと思い静かにしているとカサ、カサ、カサカサ、と草木を踏む音が近づいてきていた。 [!!…っ、、] 沙「もうこっちに来るなんて…っ、、」 ーー足音……っ、…数が多い…。このままじゃ詩音と一緒に捕まっちゃう。前科がある以上、捕まれば絶対に離れ離れにさせられる。詩音の刀だって脅威だと判断されて無理に取り上げられる。駄目っ、そんなの…! [は、母上っ、…っ、] 沙夜の袖をギュッと掴む詩音。無意識に恐怖のあまりにとった行動だった。視線は下へ向いていた。
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