第39章…忘れていた記憶

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沙「………いい?詩音、絶対にここにいては駄目。何があっても、何を聞いたとしても、ここから離れなさい。分かった?」 [は、母上またですか?もう嫌です!] 泣きながら母の袖を握り締め放そうとはしなかった 沙「母上は、………あの人達をちょっとここから離してくるわ。直ぐにま会えるから。………ね?」 [うん、、] 抱える詩音にはまだ少し大きい二本の刀 包み込むように抱きしめる沙夜 沙「目をつぶってて。何も怖い事なんて起きないわ、大丈夫。絶対に見つからない。………母上が、必ず貴女を守るから……ね?だから詩音、」 優しく語りかけている様子だが、視線はキョロキョロと何かを探すかのよう辺りを見回していた。 沙「ちょっとだけの間のお別れよ……」 [……迎えに来て、くれる??] 沙「勿論、……一緒に父上と明音のいる家に帰るの」 [父上、……明音……っ、ぅ、……] 沙「泣かないで、詩音」 [………っ、……待って……ます、、] 沙「本当に??」 [うん、……] 沙「なら、早く帰れるように母上は頑張らないとね」 抱き締める力を弛ませると、詩音の涙を優しい手つき拭う。 「ごめんね、」と小さく呟くと立ち上がり、少女が目をつぶるのを確認すると沙夜はその場から立ち去った。 カチャン…と、刀の音がしたのが目を閉じていても分かった。 なんとなく、想像もついた。 [……………っ、] 母上はきっと、身を挺して私を護ってくれた。 覚悟もしていた。 [……っ、ぅ、……母……う、え……] 閉じられた詩音の目からは、声を必死に押し殺しながら止まらずに涙が流れ続けていた。
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