第39章…忘れていた記憶

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サク、サク、サク、サク、 わざと大きく足音を立てながら歩く。 少しでも引きつけるためにゆっくり、ゆっくりと確実に音をたてる 沙「……、」 ーーこっちに来させないと、早く 絶対に……詩音の元へは行かせないっ サク、サク、サク すると微かに走る音が近づいてくるのが分かった。 沙「!!?」 沙夜もまた走り始める。 真っ直ぐ、止まらずに、速さを遅めないように その時ーー 一瞬の速さで目の前に黒い何かが現れ、ドスッ!と刀の柄を容赦なく鳩尾にいれられる。 沙「うっ、……ぁ、」 痛みに倒れないように刀で体を支える。 薄れていきそうな意識を戻し、目の前を見る 沙「…、ぅ………し、静……、」 静〔……手間をかけさせすぎですよ。まったく、やっと見つけました。手荒くさせていただきましたがご了承下さいね。あまり時間を無駄にはしたくないんです。〕 沙「…っ、ぅ、………」 静〔ところで……娘をどこに隠したんですか?〕 沙「……………」 静〔詩音、様でしたっけ?大切な母上の現状を言えば出てきてくれますかね?〕 沙「…………はは、………」 静〔何ですか〕 沙「私が、…易々と危険な奴らに愛娘の居場所を言うと思う?私はそんなに優しくなんてないわよ…。あなたも、……礼司さんも……私を見くびりすぎよ」 静を睨みつける沙夜。静はため息をはき、「そうですか。…残念ですよ」と言うと目に見えぬ早さで刀を振るい、沙夜の頭を殴った。 ガンッ!! とぶつかる音が響くと気を失いゆっくり地面に倒れる沙夜 頭からは少し血が流れていた。 静〔………娘を探せ。必ずこの近くにいるはずだ。探し出せ〕 一気に他の忍び達が動き出していった。 静〔……まったく、甘くみていましたよあなたを。1人で何人忍びを相手にしたんだか…刀を奪う程なんてね、、〕 意識のない沙夜にむかって、話しかける静。すると沙夜の身体を抱き起こし担ぐと歩き出していった。
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