第39章…忘れていた記憶

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その頃詩音は 元いた場所から離れゆっくりと森の中を歩いていた。 フラつく身体を無理矢理歩かせていた。 ーー森を抜けよう。抜ければ人もいるはず [……っ、、] 流れる涙を何度も何度も拭い、目を腫れさせながらただ前を見ていた。 途中に怖くなったり、音がしたら木の根元に隠れたりしながら前へ進んでいた。 忍び達に会わないかが不安で仕方なかった。会わないでいると逆に不安になったりと、恐怖でいっぱいだった。 [明音っ、……父上っ、………] [母上ぇ、………] 泣き叫びたいのを必死に我慢し、名前を何度も呼ぶ。 どこだか分からない。 帰りたい。 お腹すいた。 眠たい。 皆に会いたい。 [……、、] 何度日が沈み、昇ったか分からない。 九十九に何回か食べられる木の実を教えてもらったのを思い出し、分かる木の実を食べ空腹を補っていた。 だが、詩音の身体も限界を通り越していた。 そんなある日 フラフラと歩いていた詩音だったが、気づけば辺りに木は殆どなく、森では見かける事がなかった道があった。 [……出れ、た……] 安心か、限界か、力が入らなくなりドサッと倒れ込んだ。 [……はは……うえ………っ、] ーーもう、力が入らない……です 私……森を抜けれたんですよ? でも、もう歩けません…… 目も、……どんどん閉じていくんです。 なんで、こんな事になってるんですか ここはどこなんですか 家に帰りたいんです。 皆に、会いたいんです。 嫌だ。 嫌だ。 嫌だ。 嫌だ。 嫌だ。 こんなの知らない。 分からない。 もう、…………嫌だ……………。
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