第40章…はじめまして

4/23
前へ
/1378ページ
次へ
部屋に残った二人は、詩音の話しをしていた。 近「記憶がない、か……可哀想に。」 土「自分の事しか分からねぇらしい。さっき話したが、家族の事はもちろん何があったのかも全く分からねぇだとさ」 近「まだ幼い子供だと言うのに……。きっと、親御さんもさぞかし心配しているに違いない」 土「どうだろうな」 近「子供を心配しない親などいるはすがないだろう!」 土「心配とかの問題じゃなくて、もっと難しい事かもしれねぇぞ? 詩音は一人で倒れてたんだ。しかも刀を二つ抱えて。それだけでも普通じゃないだろ」 近「……………」 土「汚れちまってはいたが、高そうな着物といい……何か巻き込まれたとかじゃねぇのか?」 近「な、ならばどうすれば」 土「……………」 近「詩音自身も分からない状態なのに、放置など出来ん」 土「だから、ここで面倒みるって事になったんだろ。近藤さん」 近「ああ、」 土「…………アイツが何かしら覚えてくれてるば良いんだがな、」 …………… 宗次郎と詩音は中庭にいた。 宗「大丈夫ですか?疲れました?」 [大丈夫です、、] 宗「すみません、まだ病み上がりなのに……連れ回しちゃって」 [少し頭が痛かっただけだから大丈夫ですよ。] 宗「詩音、いくつですか?」 [九つ、です] 宗「ぁ、それなら僕の方がお兄さんですね!」 [??] 宗「十二になります、」 [そうなんですか] 宗「はい、だから何でも聞いたり、話したりして下さいね?困った事があれば遠慮なく聞いて下さい」 [ありがとうございます、] 宗「……………」 [……宗次郎さん?] 宗「……普通に話して下さい。畏まった言い方しないで下さい!僕のはもう癖だから無理ですけど、」 [………う、うん……分かった。] するとニコニコと笑いながら詩音の両手を握りしめ、「よろしくお願いしますね、詩音」と言った。
/1378ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1940人が本棚に入れています
本棚に追加