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部屋に残った二人は、詩音の話しをしていた。
近「記憶がない、か……可哀想に。」
土「自分の事しか分からねぇらしい。さっき話したが、家族の事はもちろん何があったのかも全く分からねぇだとさ」
近「まだ幼い子供だと言うのに……。きっと、親御さんもさぞかし心配しているに違いない」
土「どうだろうな」
近「子供を心配しない親などいるはすがないだろう!」
土「心配とかの問題じゃなくて、もっと難しい事かもしれねぇぞ?
詩音は一人で倒れてたんだ。しかも刀を二つ抱えて。それだけでも普通じゃないだろ」
近「……………」
土「汚れちまってはいたが、高そうな着物といい……何か巻き込まれたとかじゃねぇのか?」
近「な、ならばどうすれば」
土「……………」
近「詩音自身も分からない状態なのに、放置など出来ん」
土「だから、ここで面倒みるって事になったんだろ。近藤さん」
近「ああ、」
土「…………アイツが何かしら覚えてくれてるば良いんだがな、」
……………
宗次郎と詩音は中庭にいた。
宗「大丈夫ですか?疲れました?」
[大丈夫です、、]
宗「すみません、まだ病み上がりなのに……連れ回しちゃって」
[少し頭が痛かっただけだから大丈夫ですよ。]
宗「詩音、いくつですか?」
[九つ、です]
宗「ぁ、それなら僕の方がお兄さんですね!」
[??]
宗「十二になります、」
[そうなんですか]
宗「はい、だから何でも聞いたり、話したりして下さいね?困った事があれば遠慮なく聞いて下さい」
[ありがとうございます、]
宗「……………」
[……宗次郎さん?]
宗「……普通に話して下さい。畏まった言い方しないで下さい!僕のはもう癖だから無理ですけど、」
[………う、うん……分かった。]
するとニコニコと笑いながら詩音の両手を握りしめ、「よろしくお願いしますね、詩音」と言った。
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