第41章…現状、現実。

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ーーー ーーーーーー 詩音の部屋ーー その日、斎藤は今は主のいない部屋にいた。 いなくなってから全く変わらない内装だが人の動きが少ない朝方の数刻は幸乃が、夜は斎藤が部屋の襖や窓を少し開き風通しをしていた。 その時も何時ものように、少し風通しをすべく部屋の中へ入る。 布団は畳んであるが、書物や書き物机の上や使っていた物などは全てそのままだ。 いつでも、帰ってこれるようにーー いつでも、居場所に戻れるようにーー 斎「しかし、いつまでもこのままでは良くない気がする。」 書物などは萎れてしまっているものもある。部屋中に散らばっているのだ。 斎「仕方あるまい。」 ーー勝手にさわるのは気が引けるのだが……悪く思うな。 斎藤は足元に散らばっている書物から手に取り、集めていく。 数冊集めれば机へ置き、また繰り返していく。 何度か繰り返すと畳の上には散らばってはいないが机の上に積み重なっている書物を自分が今集めたものから丁寧に立て掛けていく。 これで最後だ、と置けずに机のすぐ横に置いていた書物を手に取ると同時に一つ気になる物を見つけた。 斎「……??」 それは、隠していたかの様に書き物机の横にピタリと立て掛けてられ表紙がくっつけられていた。 斎藤も今まで全く気がつかなかった。 恐らく、沖田や副長も知らないのかもしれないと斎藤は思った。 そのまま、隠していた書物を手に取る。
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