第41章…現状、現実。

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十年前……… 十年前のあの日、僕は何も出来なかった。 関わる事はおろか、見ることも、その場にいる事も。 いや、違う。 ただ、何も知らなかった。 何も知らずに、気付かずに、ただ普通に過ごしてた 倖城で起こっている事など全く知らないでいつも通り、晋作達と下らない事をしていた。 知ったのだって偶然だった。 偶然、暇潰しに外をふらついていたら倖城の話しを耳にした。 だからその足で倖城の屋敷まで行った。 近づいていく度に胸騒ぎが止まらなかったのを覚えてる。 何か、雰囲気がおかしかった。 あの時の心情と言ったら、……ただ何が何だか分からなかった。混乱してた。 屋敷の外見は何も変わっていなかった。 表は………………。       裏は、荒れていた 慣れない血の匂いが充満してた。 綺麗に整えられていた草木は踏みつぶされていた。 扉がこじ開けられたら痕跡があった。 シーーンと、していた。 人ひとり、全く気配がしなかった。 その時も偶然に明音に兄の様な存在だと紹介された事のある九十九を見つけた。 怪我をしていたようだった。 頬には傷、着ていた衣服も血がついていた。 僕の事を覚えていた九十九は驚いた様子だったが、すぐに屋敷を案内された。 頭から目にかけて包帯をまき、布団に寝ている状態の明音がいた。 明音も僕の姿に驚いた様子だった。 すぐに側にいた側付き達を部屋から出させると二人きりになり、悲しそうに笑いながら明音に全てを聞いた。 呆然としたのを覚えてる……。 怒りさえ感じた。 それと同時に、全て壊れたと思った。 何もかも……僕の周りは変わってしまった
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