第41章…現状、現実。

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[どうして、私を……] 礼司「姪と会うことに理由がいるのか。」 詩音が何も言わずにただ困ったようにいると礼司は視線を詩音から逸らす 礼司「まぁ良い。お前は小さい時から私を避けていた。那緒司からは離れなかったのに…私には自分から近づく事がほとんどなかった。子供嫌いな私にとっては悪くはなかったが……気分は悪かったな」 [ビクッ…………っ、] 勝手に震える身体。 力を入れて抑えようとするが震えが止まらない。 ーーそうだ、私は………怖かったんだ。 この人の……鋭い目に、冷たい雰囲気が怖かった。 [わ、私は、……真実が知りたい。 どうして……10年前、あんな事が起きたのか] 礼司「記憶が曖昧なんじゃなかったのか?………まぁ、良いが。……強いて言うなら那緒司が憎いだけだ。特に理由はない。」 [それなのに、あんな……。だって……血が、たくさんっ] 礼司「刃向かう者には容赦しない。例えそれが血の分けた者だとしても。殺すだけだ」 [………っ、どう……、して] 礼司「結果として、那緒司は無事だったがな。奴は昔から剣術が得意だった。」 礼司の言葉に握りしめていた拳を震わせる詩音。恐怖よりも怒りが勝っていた。 [どうして、何でっ!!……そのまま、そのままで、何もなく静かにいたかったのにっ!] 礼司「壊したかったモノは壊せた。」 [あなたがっ!……私の、全てをぐちゃぐちゃに……っ、、、] 詩音は怪我をしている足を気にもせずただ本能のままに礼司の襟元に掴みかかっていた。 驚いた様子もなくされるがままでいる礼司に詩音は眉を潜めると、掴んでいた力を強くする。 礼司「足の怪我、悪くなるぞ」 [そんな事、どうだって良い……!!]
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