第41章…現状、現実。

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[どう、して……何でっ!!?] 礼司「………」 [どうして!お母様は、だって……何も!] 礼司「そうだな。沙夜は何もしていない。」 [………] 礼司「……私が追い詰めた。私が悪い」 突然の礼司の言葉に驚く詩音 全く礼司が認めるなんて思ってもいなかったからだ。 [……、、] 礼司「お前はさぞかし私が憎いだろうな。存分に憎めば良い」 [どうして、急に……] 礼司「急などではない。前々から思っていた。いや、……ずっと、考えていた。忘れた事など一度だってない。」 [………、] 礼司「………詩音」 礼司は詩音と目線を合わせるため膝をつき、しゃがむ その時の礼司の顔は優しく、どこか恐いと思っていた素顔と似ても似つかなかった。 礼司「私は……、お前の父が羨ましかった。自由奔放で、愛する者と一緒になれ、可愛い子供まで授かり、きちんと自分を分かっていた那緒司の事が」 [……、] 礼司「………月が経つ度、歳をとる度に悩む事が多くなった。……だが、私は自分を止めることすら出来ない脆弱者。今更後悔しても遅いがな、、詩音とは…もう一度ゆっくり話がしたかった。」 [!!……、] 〔[叔父上っ!]〕 〔「詩音か、久しいな。元気にしていたか?」〕 走ってきた詩音をそのまま抱き止め、抱きかかえると詩音は嬉しそうに礼司の首回りにしがみつく 〔「どうした?」〕 〔[叔父上、聞いて下さい!明音と九十九にお花の冠を作り方を教えてもらったんです。ほら!]〕 〔「本当だ、上手いな詩音」〕 〔[叔父上様に差し上げます]〕 バサッと礼司の頭に詩音は持っていた花冠をのせる 〔「……ありがとう詩音。これは新城に戻っても大切にする」〕 ああ、嫌な記憶ばかりじゃない これは…とっても優しくて暖かい叔父上との思い出 はじめは怖かった。 いつも誰かの後ろに隠れていた。 だが、数回しか会った事はなかったが、次第に怖いとは感じなくなった。 話せば、近寄れば必ず目線を合わせてくれる。 私は………この人の事が、大好きだったんだ。
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