1940人が本棚に入れています
本棚に追加
礼司「この場所を知る者は限られている。明日香でさえ知らない筈だ」
[……………]
礼司「この場を見て、お前がどう考え思うかは自由だ。私を憎み蔑むのさえも自由。……私はゆっくりと屋敷に戻っている。残りの時間、好きに使え」
サク、サク、と草木を踏む音のみが聞こえていたが…その音はどんどん遠ざかっていった。
礼司「………。」
ーー沙夜、お前はきっと私の事を許してはくれないだろうが、気持ちを向けていた事実だけは、なしにはしたくない。
……すまないな。那緒司とも、もう何年も経っていなかったな………。
文でも出してみるか………。
[………。]
ーー何か、変な気分です。母上、と呼んでも良いんでしょうか……?
ここには母上はいないと聞きましたが、でも……この場にいた事は事実ですもんね。
[………もっと、一緒にいたかった。
もっと、………一緒に、、一緒に過ごしたかったです。]
何故だか自然と涙は出なかった。
気持ちはサッパリしていた。
清々しさもあった。
最初のコメントを投稿しよう!