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まるで子供に言い聞かせるように話す九十九に詩音は居心地の良さを感じていた
自然と肩のあたりを握る拳に力が入っていく。
九十九〔お疲れですか?〕
[え?…ぁ、すみませんっ、]
九十九〔……詩音様は謝りすぎですよ。あなたが誤る必要なんてどこにもありません。もっと胸を張って下さい〕
[九十九さん……、]
九十九〔……それと、そのさん付けも慣れないです。出来れば名前で呼んで下さい〕
[え?!ぁ、でも…]
九十九〔直ぐにとは言いませんよ。ただ、僕も慣れないので〕
[………私、………昔はずっと九十九さんにべったりでしたよね。華冠とか教えてくれて…、、]
九十九〔!!……そうですね。あの頃は明音様と詩音様と三人で庭で遊んでいましたね〕
[楽しかった…。毎日毎日、九十九さんを探して屋敷中走り回って。明音も巻き込んだりしてました]
九十九〔それは知りませんでした〕
[でも、中々見つからなくて大変でした。]
九十九〔今更ですが、すみませんでした。きっと、那緒司様の所や任務に行っていたと思います〕
[はい。でもあの頃の私は何も知らなかったので九十九さんがいなくなったと泣いていた気がします]
九十九〔それは…、その時に僕がいたら明音様に怒られていましたね。きっと〕
クスクスと、二人で笑いあう。
最初の気まずさなど全く感じなくなっていた。逆に、落ち着いていた。
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