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ーーど、どうしよう……全く分からない
詩音は悩んでいた。自分で当てると言ってしまった手前、直ぐに聞けない。
んー、と腕を組み必死に悩む詩音に対し棗は苦笑いしていた。
棗〔詩音様、そんなに必死に考え込む程の事じゃありませんよ?〕
[棗くんの弟さんの名前です。ぞんざいに扱うわけにはいきません!]
棗〔……………〕
ーーそんなに考え込む必要なんかないのに……。
[………な、棗くん]
棗〔何ですか?〕
[ぁの、非常に聞きにくいんですが、その………名前を………]
棗〔梛です。〕
[ぇ?!]
棗〔名前ですよね?梛です。梛〕
[梛、くん…。可愛らしい名前ですね]
棗〔やっぱり女子みたいですよね、棗も梛も〕
[そんな事、お母様に失礼ですよ?]
棗〔この名前は明音様がくれたんです。前の名前は……もう忘れました〕
[………明音が]
棗〔きっと、あの時は面白がって紛らわしい名をつけたんだと思います。
でも、………新しく名をくれた事で救われたのも事実なんです。だから僕は明音様には頭が上がらないんです〕
複雑そうな顔をしながら話していたが、懐かしむような、照れたような笑顔で笑っていた
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